【違法建築物をわかりやすく解説】 建築基準法違反でも売れるの?
2022/03/05
相続した物件が、「実は、違法建築物だった」と不安になりご相談を頂くケースがよくあります。
違法建築物を相続した方の多くは、物件が法律改正により違法になってしまったり、相続前に物件の増改築で違法になっていたりするケースがほとんどです。
違法建築物とは主に建築基準法に違反する物件をさします。
今回は、違法建築物について取り上げさせて頂きます。
違法建築物の売買
「違法建築物を直さない売買できない」と思っている方も多いかもしれませんが、売買は可能です。
売買すること自体は、法律で禁止されているような行為ではありません。
しかし、通常の不動産と同じように売買できるのかというとそうではないため、注意が必要です。
違法建築物は、修繕や増改築を行う際、現行法に適合させる必要があります。
また、行政からの指導が入る可能性もあり、買主にとってはリスクが大きい物件だといえます。
もちろん、売却の際に違法建築物であるという事実を隠すことは出来ませんので、売主は一般の物件と比べると買い手が付きづらいことを受け入れる必要があります。
そのため、売買は可能であるものの、普通の不動産屋に依頼しては現況のままスムーズな売買が成立することは、あまり現実的ではないと言えます。
違法建築物の判断とは
よく「検査済証」があれば、違法建築物ではない」と思われている方が多いですが、これは正しくはありません。
検査済証は、あくまで建物が建築された時点で、法律に適合していたことを指す書類です。
新築後に行われた増改築などによって、違法建築物になった物件にも、検査済証は残っている可能性があるからです。
もし、不安で違法建築物かどうかを知りたい方は、売買などを行う前に、一級建築士などの専門家に診断してもらうことが出来ます。
専門家に診断を依頼すれば、その時点で違法建築物になっていないかを明確に確認できます。
違法建築物は現金でしか購入できない?
“違法建築物は現金(キャッシュ)でしか購入できない”という噂を聞いたことがある方もいるでしょう。
これも、正確には正しくありませんが、そのような状況になる可能性が高い傾向にはありまです。
違法建築物は、再建築不可物件などと同じように、購入時のローン審査にはほぼ通りません。
これは、もちろん商品価値、担保価値が低いことが理由です。
しかし、これはメガバンクなどの金融機関にのみ言えることです。
一部のノンバンクや信用金庫、信用組合などであれば、違法建築物でも融資が受けられる可能性は十分にあります。
もちろん、大手金融機関より条件は良くない可能性が高いですが、現金でしか購入できないというわけではありません。
違法建築物の種類
違法建築物と一口に言っても、その種類はさまざまです。
主に以下の3つが、違法建築物に該当します。
①建ぺい率オーバー
建築面積の敷地面積に対する割合を“建ぺい率”といいます。これは地域によって30~80%を上限としています。
そのため、もし建ぺい率の上限80%の地域で、90%の物件があれば、それは建ぺい率オーバーであり、違法建築物という扱いになります。
かんたんにいうと、敷地いっぱいに建物を建築している場合、違法建築物になりやすいということです。
②採光不良
建築基準法には、建物において居室面積の1/7以上、採光を確保するための開口部を設置しなければいけないというルールがあります。
このルールを満たしていない建物は、十分な採光を取り入れることができず、違法建築物扱いになってしまいます。
また、採光不良は基本的に是正するのが難しいため、売却時などはかなり不利になる可能性が高いです。
③違法増築
既存の建物を増築する場合、その面積によっては建築確認申請をしなければいけません。
具体的には、10㎡を超える増築には申請が必要であり、これを行わずに工事を実施すると、違法建築物扱いになってしまいます。
ちなみに、増築した部分を再び工事によって除去すれば、違法建築物ではなくなります。
建物以外の設置にも注意が必要タイトル
先ほど、建ぺい率を超える建物の増築は、違法建築物扱いになる可能性があるとお伝えしました。
しかし、建物以外にも注意が必要です。
以下の設備等を設置する場合は、原則建築物として取り扱われるため、建築確認の手続きをしなければいけません。
・スチール物置
・カーポート
・プレハブユニットハウス
・簡易な屋根掛け など
ただし、以下の条件をすべて満たすものに関しては、建築物に該当しないため、建築確認の手続きを取る必要がありません。
・10㎡以下の建築物
・建築位置が防火地域、準防火地域ではない
・土地に自立して設置する小規模な倉庫
・外部から荷物の出し入れを行える
・内部に人が立ち入らない など
違法建築物についてお伝えさはましたが、いかがでしたでしょうか?
急に違法建築物を所有することになってしまった方は、最初困惑するかもしれませんが、大まかなルールさえ知っていれば対処できます。
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