空き家の貸し出しに時に起こったトラブル事例を解説 【不動産売却】
2022/02/02
空き家を貸そうとしたら455万円の負担!?
空き家の活用には大きく分けると「売る」と「貸す」という2パターンがあります。
売りたくない等の理由から人に貸す場合、一般的な方法は賃貸戸建として貸すことです。
用途変更などの煩わしい手続きは必要なく、不動産会社などに依頼して入居者が決まれば、家賃収入が入ってきます。
簡単に見える空き家の賃貸も、当然ですがメリットとデメリットがあります。
この点を理解せずに活用を始めてしまうと、大きなトラブルに発展することもあるため注意する必要があります。
特に賃貸オーナーとして、どこまで入居者の要望に応えなければならないかを知っておくことは、賃貸住宅のオーナーになるリスクを知る上でとても大切です。
賃貸住宅は貸主と借主が賃貸条件で合意することで契約が成立します。
貸主が住む場所を提供し、借主はそれに対して家賃(対価)を払って住むことができます。
契約書で家賃や契約期間といった部分は注意しても、修繕の負担区分など細かな取り決めをしていないとトラブルが起きたときに予期せぬ出費が発生することもあります。
以前ご相談を頂いたGさんは、両親が住んでいた空き家を相続しました。
放っておいてはもったいないと、賃貸戸建として活用することにしました。
しかし、築年数も古く、何年も空き家になっていたため、人に貸す前に一通り室内の修理を行うことになりました。
相談した近所の不動産会社の提案で、畳、ふすま、クロスの貼り換え、水回り設備(キッチン、バス、洗面台、トイレ)も交換、総工事費は280万円となりました。
築年数が経っていることもあり、家賃は周辺相場よりも2割ほど安く設定しました。
賃料が割安で、駅から徒歩圏ということから、すぐに借りたい人が見つかりました。
不動産会社が作成した契約書で賃貸借契約を結び、借主の若い夫婦も喜んでくれました。
契約してから1年後、問題が起きました。
入居している夫婦から「お湯が出ない」と連絡があったのです。
ガス会社が調べたところ、給湯器が古く交換が必要とのこと。不動産会社から給湯器の交
換はオーナー負担と言われ、Gさんはおよそ5万円の修理費を支払いました。
それから更に6カ月後、今度は1階キッチンの壁と2階の天井で雨漏りが発生したのです。
Gさんは「古い家だということは伝えているし、その分家賃は安くしているのだから、割安な家賃なので修理は入居者の負担で」と伝えたところ、入居者から
「修理はオーナーの責任ですよね!雨漏りする物件なら入居なんてしなかった!」
と文句を言われてしまったのです。
Gさんは仕方なく屋根と外壁の修理費用を負担しました。
リフォーム会社の話では、雨漏りの箇所の特定は難しいため、原因と思われる箇所を確かめながら修繕していくか、屋根の瓦を交換し、外壁を塗装するしかないと言われてしまったそうです。
Gさんはこれ以上のトラブルは嫌だと外壁と屋根を全部直すことにしました。その費用、およそ170万円。
Gさんは.当初予定していた280万円より175万円も多い、総額455万円もの投資をする羽目になってしまったのです。
さらに、入居者に費用負担を求めてしまったことから、「物件もオーナーも信用できない」と、その夫婦は退去してしまいました。
不動産会社からは、「次の入居者が入る前に、雨漏り跡があるクロスは交換したほうがいい」と言われましたが、これ以上の出費はしたくないと弊社に売却の相談依頼を受けました。
つい先日も「実家を人に貸していたが、退去後のリフォーム費用が高額過ぎて、何もせず空き家のままになっている」とのご相談をいただきました。
このように、賃貸人が退去したあと、再度入居者を募集するためには多額の修繕費がかかる場合もあります。
このようなリフォームができずに、入居者募集をあきらめ放置されている空き家は数多くあります。
人に家を貸すことは賃貸経営を行うということです。家賃収入が入るメリットだけでなく、修繕費用やクレーム対応などの事業リスクも事前に十分に確認することをお勧めします。