【借地権とは?】所有権や底地権と何が違うの?借地権をわかりやすく解説
2021/12/22
目次
借地権をもう少し詳しく
借地権とは「第三者から土地を借り、対価(地代)を支払い借りた土地(借地)の上に建物を建てる権利」ということです。
借りる人の事を借地権者と呼び、貸す側の地主さんは借地権設定者や底地権者とも言われています。地主さんには土地を借りる対価として借地権者は毎月地代を支払います。
借地権には「借地借家法に基づく借地権」と「民法上の借地権」があります。
・借地借家法に基づく借地権
「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権」の事をいいます。
「借地借家法に基づく借地権」には種類があり、「土地の賃借権」「地上権」が一般的な借地権と言われるものになります。
・「民法上の借地権」
建物所有を目的としない土地の賃貸借です。
月極駐車場や資材置き場などがこれに該当します。民法の規定が適用されます。
ここでは、「借地借家法に基づく借地権」の内容を詳しくお伝えしていきます。
借地権のメリットデメリット
借地権のメリットとしてあげられるのは、土地に対する固定資産税・都市計画税がかからないことです。
所有権を購入するより安く購入することが出来ます。
借地権付き建物として借地権の権利を売却する事も出来る等があります。
デメリットとしては、建物は自分の所有になりますが、あくまでもその下の土地は他人の所有になります。
地代の発生や土地賃貸借契約上・借地借家法上で地主さんとの間にどうしても下記の内容など様々な制約が発生してしまいます。
・建て替え、増改築、名義変更の際に地主の承諾が必要。
(承諾料が発生するケースがります。)
・地代の値上げや契約更新の際の更新料の支払い
売却する時も、このような理由から、所有権に比べ価格は低くなってしいます。
このように借地権者にとって不都合なことが多く、たくさんの借地権者が悩みを抱えているのが現状です。
旧借地法と新借地借家法の違い
借地権には2つの種類があります。
旧借地法と平成4年8月に制定された新借地借家法とで区別できます。
旧借地法においては、借地権者側の立場を守る意味合いが強く、地主側との間にトラブルが多く発生し、次第に借地権の取り引き自体が少なくなってきたため、双方の便宜をはかる為に改正したのが新法となりますが、今現在でも旧借地法においての契約が多く、旧法と新法が混在している状況になっています。
当初、旧法借地として契約したものは、更新などでも新法に自動的に切り替わることがない為です。
旧借地法から新法に切り替えるには契約自体を新たに取り交わさなければならないため、現状の土地賃貸借契約の状況によっては注意が必要です。
旧借地法(賃借権)
借地権設定時、存続期間は30年、更新後20年となります。(借地権者側が法律上強く守られており、地主側の更新拒絶、建物明け渡し、更地返還などは正当事由なしでは認められていない)
旧法では、建物を堅固建物(石造、土造、レンガ造、コンクリート造、ブロック造等)と非堅固建物(⽊造等) の2種類に区分しています。
借地権の存続期間は、あらかじめ当事者間で取り決めのなかった場合は前者を60年・後者を30年と定めております。
更新後の存続期間は前者で30年・後者で20年です。この期間中に建物が朽廃した時には借地権は消滅します。
借地権の契約において、建物の種類・構造を特に定めなかった場合には、非堅固建物の所有を⽬的とするものとみなします。
新借地借家法
新法の借地権には法定更新される普通借地権と法定更新を排除する定期借地権があります。
新法の普通借地権には堅固建物と非堅固建物の区別がなく、存続期間は一律に30年となっております。
借地人と地主側でこれより長い存続期間で設定をしている場合は、その契約内容が優先されます。
存続期間が満了し、借地契約が更新された場合には、最初の更新は20年、2回目以降の更新では10年となります。
貸主・借主がこれより長い期間を設定した場合には、その期間が存続期間となります。
新法(借地借家法)における借地権の多くは定期借地権のことを指します。
定期借地権の種類
定期借地権は法定更新ができず、期間満了時に借地権者は土地を更地にして地主に返還しなければなりません。
「定期借地権」は一般的に存続期間を50年と定め、期間満了後は地主に土地を返還する必要があります。
借地権の更新や建物買取請求権などは、認められていません。
地主にとっては返還時期が読めない旧法借地権と違い、財産の管理がし易くなる為、借地権の更新をめぐってのトラブルが少なくなっています。
定期借地権は「⼀般定期借地権」や「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」などがあります。
①一般定期借地権
借地権の存続期間を50年以上として設定されます。期間の満了に伴って借地権契約は終了し、借地権者は建物を解体して土地を地主に返還する必要があります。
②事業用定期借地権
事業用の建物所有を目的とし、10年以上50年未満の期間を定めて契約される定期借地権で、公正証書により契約が締結されることが要件となります。
一般定期借地権と同様に期間の満了に伴って借地契約は終了し、借地権者は建物を解体して土地を地主に返却する必要があります。
事業用定期借地権は、事業専用の建物であることが要求されるので、賃貸マンションのような居住目的の建物は対象になりません。
③建物譲渡特約付借地権
借地権の存続期間を30年以上とし、期間満了時に地主が建物を買い取ることをあらかじめ約束して契約した借地権です。
地主に建物を譲渡した時点で借地権は消滅します。
建物譲渡後に借地権者が建物に居住を希望する場合は、建物の借家契約を締結することになります。
地上権(物権)
借地権の中でも地上権として登記を行っている非常に権利形態の強いものです。地主の承諾なく、第三者への売買などができます。
「正当事由」がない限り更新拒絶はできず、地代の支払い以外はほぼ所有権に近い権利形態となります。
最後に
ここまで、借地権という難しい内容をお読み頂きましてありがとうございました。
ひとえに借地権と言っても、種類が豊富にあります。
そして、通常の不動産とは違い、借地権者と地主との間でおこるトラブルやも多いため、
不動産会社によっては、取り扱いを行わない会社も多くあります。
また、知識が無い不動産会社に依頼をすると、余計なトラブルを誘発してしまう可能性すらあります。
そのため、借地権の売買については、慎重に不動産会社を選定することをお勧めします。
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