【板橋区の空き家の実態を知る】板橋区の空き家が多いエリアとは?空き家対策に取り組むために
2022/04/16
空き家数が23区で4番目に入っていると聞くと、ボロボロの一軒家が多くあるイメージを受ける方多いと思われますが、実態は少し異なります。
詳細を見ていくと、賃貸用の住宅は27,920戸(約76%)その他住宅(一戸建て空き家)は2,020戸(約5%)となっており、板橋区での空き家は、約3/4が賃貸物件の空室となっているそうです。
板橋区の空き家利活用実態調査
板橋区では、適切な管理が行われていない空き家が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、 身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、併せて空き家の活用を促進するため"空き家利活用実態調査"を行っています。
今回は、板橋区の実態調査のポイントとなる「一戸建て」と「賃貸住宅」の空き家の状況を見ていきましょう。
《一戸建ての空き家》
現地調査の結果、板橋区全域で、一戸建ての空き家は、1,123 件となっています。
地域別に見ていくと、住宅が多いエリアに空き家が多いようです。
わかりやすく、一戸建て住宅の地域別の空き家数・空き家率の順位 TOP5を見ていきましょう。
◆町丁目別の空き家数(一戸建て)
1位 蓮沼町 39 件、2位 本町 33 件、3位 仲宿 31 件、 4位 清水町 31 件、5位 大和町 26 件
都営三田線の板橋本町駅から本蓮沼駅の周辺に集中しています。
◆町丁目別の空き家率(一戸建て・集合住宅等を除いた住宅数)
1位、小豆沢 2 丁目 6.5%、2位 板橋 1 丁目 5.8%、3位 本町 5.6%、4位 小豆沢 1 丁目 5.2%、5位 上板橋 1 丁目 4.8%
上位4位までは、都営三田線のあるエリアとなります。
(板橋区の空き家平均は 1.9%)
空き家数、空き家率がともに上位 10 地区に該当したのは3地区となります。
小豆沢 2 丁目 22 件・6.5%、蓮沼町 39 件・4.5%、本町 33 件・5.6%
板橋区の空き家数分布図
《賃貸住宅の空き家》
現地調査の結果、板橋区全域で、棟単位の空き室率 20%以上の賃貸集合住宅は 541 棟となっています。
地域別に見ていくと、賃貸集合住宅数が多いエリアに空き率が高いようです。
わかりやすく、賃貸集合住宅の地域別の空き家数・空き家率の順位 TOP5を見ていきましょう。
(※この順位は、空き室率 20%以上の賃貸集合を対象としております。)
◆町丁目別 の空き家数(賃貸集合住宅)
1位 赤塚2丁目(18 棟)、同率2位 徳丸1丁目 ・赤塚7丁目(17棟)、 同率4位 成増3丁目・成増4丁目・赤塚5丁目 (13棟)
◆町丁目別 の空き家率(賃貸集合住宅)
1位 赤塚5丁目(44.8%)、2位 徳丸8丁目(38.5%)、3位 西台3丁目(38.1%)、同率4位 赤塚3丁目・赤塚6丁目(33.0%)
総合的に賃貸住宅の空き家率が高い地区は、赤塚5丁目、赤塚3丁目、稲荷台の3地区となります。
(賃貸集合住宅数が 25 棟以上町内に存在し、且つ空き室率 20%以上の賃貸集合住宅率が 30%以上の地域)
詳細は、下記の空き室率 20%以上の賃貸集合住宅の分布状況をご覧下さい。
そして、賃貸住宅の空き家率で注目すべきエリアが、『高島平1丁目』です。
上記の棟数別のランキングで見ると、 高島平1丁目は、空き家数 9位(10棟) 空き家率 58位(13.50%)となっておりますが、下記の図をご覧下さい。
1 世帯当たり人員が多い地域は、ファミリー世帯の物件が多く、空室数が少ないという傾向が見られます。
このような傾向から、単身世帯が多い地域(単身者向け賃貸集合住宅が多い地域)で 空室が多く発生する可能性が高いと考えられます。
高島平 1 丁目は、1 世帯当たり人員から推計される空室数を大きく上回る空き室が発生し ており、賃貸集合住宅室数が供給過多の状況にあることが懸念されています。
データ引用先:板橋区空き家実態調査 令和2年(2020 年)3月
板橋区で迷惑空き家を放置し続け、強制撤去された事例(行政代執行)
板橋区は、平成29年1月に迷惑空き家の建物及び荷物の撤去(空家特措法に基づく行政代執行)を行っています。
この迷惑空き家は、所有者が溜め込んだごみや建築物の老朽化によりゴミによる匂いや害虫発生、景観問題などにより近隣住民より区役所に相談多く入っていたそうです。
その頃から、板橋区は庁内関係部署と連携して所有者へ指導や説得等を実施を行っていました。
警察の協力により敷地外にはみだしたゴミの一部撤去をしたりしていましたが、根本的な問題解決出来ずにいたそうです。
その後、平成27年に所有者が亡くなってしまいました。
板橋区は、法定相続人の相続放棄及び死亡を確認し、空き家の義務者をはっきりできないと判断し、家庭裁判所に相続財産管理 人を申立・選任しました。
板橋区は平成28年3月に都内で初の空き家対策計画策定行い、現地では侵入者防止用仮囲い設置工事を行いながら、問題解決に向けて特定空家等の認定等の手続きを勧めていきました。
平成 28年11月から12月に、空家特措法第 14 条に基づく指導・勧告・命令等を行い、行政代執行の実施となりました。
行政代執行の内容は、建物全体の撤去と敷地内の荷物の撤去となりました。
(行政代執行の期間:平成29年1月17日から3月31日)
行政代執行完了の翌月に、解体等工事費用(代執行費用)約2,000万円の回収手続き及び回収が完了しました。
空き家特措法施工後 都内3例目の行政代執行ということもあり、板橋区の担当者が行政代執行の実務の本を出しています。
こうすればできる 所有者不明空家の行政代執行 現場担当者の経験に学ぶ
板橋区都市整備部建築指導課 (編集), 宇那木 正寛 (監修)
板橋区が推奨する9つの空き家予防策
それでは、板橋区で推奨している空き家や危険な建物になる前に行う予防策を見ていきましょう。
① 建物等の点検・修繕
人が住んでいて、空き家ではない建物であっても、地震や台風の影響により、瓦や部材が隣の敷地に落ちて迷惑をかけてしまうことがあります。
「管理状況確認リスト」を活用し、定期的に建物の点検をしましょう。 また、破損等がある場合は、早期に修繕等を行いましょう。
② 遺言書の作成
不動産の相続について、相続人の間での協議がまとまらず、長期間処分できないことがあります。誰に建物を引き継いでもらいたいか明確な場合は、遺言書を 作成することで、スムーズに相続ができるようになります。遺言書は、大きく分けて公正証書遺言と自筆証書遺言があります。法律に定められた要件や形式を満たしていない場合は、 無効になるケースもあります。要件や形式にあった正しい遺言書を作りましょう。 また、共有名義の不動産は、相続登記をしないまま相続を繰り返すと、権利関係が 複雑化してしまう場合もあります。
③ 家族での話し合い
所有者が認知症等により判断能力が無くなってしまった場合、家族が代わりに売却 しようとしても所有権がないため、勝手には売却ができません。また、所有者が亡くなった 場合は、相続人の間で建物をどうするか協議がまとまらず放置してしまうことがあります。 そうしないために、今のうちから活用方法(解体・売却・継続使用等)、生前贈与、誰が 管理をしていくかを家族が集まる機会に話合いましょう。
④ 不動産登記の確認
不動産の相続登記がされず、亡くなった所有者の名義のままにしておくと、相続が発生した時に所有者が不明確になり、相続整理がつかず売却できないことがあります。登記が現在の所有者になっているかは法務局で確認できます。
令和3年4月に「所有者不明土地問題」を防ぐための法律が成立し、 令和6年4月1日から相続登記が義務化される制度が始まります。原則不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記申請をする必要があり、しない場合は10万円以下の過料が科される可能性もあります。
⑤ 任意後見制度の活用
所有者が認知症等により判断能力が無くなると、売却等の意思確認ができないため、子どもたちが売却・解体などしようとしてもできず、 そのまま空き家になってしまうこともあります。こうした場合、法定後見制度が活用できますが、判断能力があるうちに 任意後見制度を利用すれば、その後判断能力が無くなっても事前に本人の 意思を後見人に伝えておくことで、建物の売却・解体等ができるようにも なります。今のうちから任意後見制度の活用を検討してみて下さい。
〈法定後見制度〉
本人の判断能力が不十分になった後、成年後見人等が選ばれる制度です。本人の判断能 力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3つの制度が用意されています。
〈任意後見制度〉
自身で自由に後見人になってくれる人を選び、その人と後見内容も決めておくこと のできる制度です。また、任意後見は、本人の財産を守るための制度なので、本人の 財産にリスクになるような財産の使い方は後見人であってもできません。
⑥ 近所への声かけ
老人ホーム等の施設入所や子どもたちが遠方にいることで、管理 ができなくなってしまった空き家は、建物の老朽化や樹木の繁茂 などについて、近所の方が不安を感じてしまうことがあります。 事前に近所の方に連絡先や住所等を伝えておくことで、現地の 状況を確認してもらったり、手助けをしてもらえることがあります。
空き家予防パンフレット 家の将来は大丈夫?空き家や危険な建物になる前に
板橋区の空き家相談窓口:板橋区 都市整備部 建築安全課 老朽建築物対策係 TEL:03-3579-2574
板橋区の特定エリアの助成制度
不燃化特区制度
板橋区では、災害危険度の高い木造密集地域を「燃え広がらない.燃えないまち」にするため、「不燃化特区制度」による建築物の不燃化を促進しています。
不燃化特区内では、老朽建築物の建替えや除却の経費を一部助成を一定の条件を元に助成しています。
《不燃化特区指定地区》
板橋区では「大谷口一丁目周辺地区」および「大山駅周辺西地区」が不燃化特区に指定されておます。
助成内容
・建替えのための助成(老朽建築物を除却し、準耐火建築物等・耐火建築物等に建替える場合)
・老朽建築物を取り壊すための助成
・固定資産税・都市計画税の税制優遇
助成メニュー | 助成額 | 備考 |
老朽建築物の除却費用 | 最大150万円 |
昭和56年6月1日(新耐震基準) 以降の建物は最大100万円 |
建替えのための建築設計費 | 最大100万円 | |
建替えの工事費 (主要生活道路沿いのみ対象) |
最大150万円 | 大谷口一丁目周辺地区のみ対象 |
管理柵の設置費用 (老朽建築物を除却し更地にした場合) |
最大25万円 |
詳細はこちら
【大谷口】助成金交付制度パンフレット (PDF 1.1MB)
このような制度を活用することで、空き家の取り組みに対する負担は大幅に軽減されるのでは無いでしょうか。
※制度の取組期間が令和2年度末で終了の予定でしたが、令和7年度まで5年間延長されました。
問題解決にむけて具体的な取り組み
板橋区の空き家の現状や予防策について、取り上げてまいりました。
様々な空き家対策の方法がございますが、いざご自身の物件のこととなると戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
賃貸用物件のお持ちの方は、目の前の空室を早急に対処するために、どのような対応がベストか迷われる方が大半です。
これだけ、空室の多いマンションやアパートの空き家を減らすには、普通に賃貸募集をしていても現状を変えることは難しいでしょう。
また、利活用や不動産売却をするにしても事前に準備することが沢山あります。
弊社では、準備のお手伝いはもちろんのこと、様々な企画やアイディアをもとに空き家対策を行うノウハウを持っております。
まずは、お気軽にご相談下さい。
アパートやマンションなどの賃貸用住宅はもちろんのこと、居住中の一戸建ての対応も得意としております。
物件売却、賃貸募集、賃貸管理まで幅広く対応させて頂きます。
弊社は、再建築不可、借地権、事件事故、老朽化、雨漏り、害獣被害、荷物整理や処分など多岐にわたり対応が可能です。
物件を修繕する費用が無く放置してしまっている方は、早急にご相談下さい。解決策を一緒に見つけることが出来ます。
空き家対策は、ひとりで悩んでいると解決に時間がかかってしまい、余計な出費やトラブルが発生してしまいます。
まずは、お気軽にご相談下さい。
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